漣の想い

“さざなみの記憶”

旅の光景は、ひとそれぞれ。
列車の窓の向こう、ちぎれるように流れて行った春の田園だったり、時折、波しぶきを受けながらドライブで駆けた夏の海だったり、秋雲の切れ間から眼下に広がる異国の山並みだったり、甲板を掠めるように飛ぶ冬の渡り鳥の群れだったり…

ひとの心の中に刻まれた記憶が、一枚の絵画のように残っているのが、旅の光景だとすれば、自分の中に在る一枚は、人生もまた旅だという思いから、遠い日の故郷、人影もなく静かに波の音だけが聞こえる夕暮れの海。

漣-Ren-という名前は、元々「さざなみ」と読みます。
訪れるひとが「さざなみ」のように、寄せては返し、また寄せる、
そんな場所でありたいと云う思いを込めました。

遠い日の海、さざなみの記憶が、時を刻み、月日を重ねて、漣の想いにつながっています。

N.Yanagibori